『ヘアスプレー(2007)』すっごい主人公でワロタ
60年代、黒人差別に揺らぐボルチモアを舞台にした、スターを夢見るビッグサイズの女の子のミュージカルである。
ヘアスプレーは、彼女がオーディションを受けようとするTV番組のスポンサーであり、彼女こだわりのビッグヘアを維持する強力アイテムの意。
主人公がとにかく徹底してポジティブで、葛藤がないの。
オデブは個性、自分の歌声とステップに自信があり、なおかつ新しいダンスを見ると、初対面の黒人相手に、
「それ、どうやんの?!」
って訊けちゃう能天気(向上心?)。
正義の為なら突っ走り、そのせいで周りの人達が逮捕されても、自分が逃亡生活になろうとも落ち込まない、凹まない。
(うわ~、はた迷惑な奴っちゃ~!)
と見てるこっちはハラハラするけど、本人は至ってノンキ。
ラストは憧れのアイドルと恋仲になれちゃったし、多分この先も彼女は全米デビュー目指して、踊り続けちゃうだけなんだろう。
てゆっか、主人公が前向き過ぎて、まったく葛藤しないから、周りがコンプレックスこじらせたり、理不尽な差別に闘志を燃やさざるを得ない(そうしないと、物語に山がなくなる)。
「愛がない人生なんて」
の例えが軽すぎて、笑っちゃいそうだけど当人らは、その軽さに気づかないで、生きてけないと信じてる辺りが、嫌味ないティーンエイジャーで可愛い。
さて現実は、そんな映画みたいに何でもかんでもうまく行かない。
2度目の挑戦で、この役を掴んだ新人女優も、リアルではアルバイトとオーディションの日々だし、エンドクレジットの歌詞も、
「この先の道のりは長い」
とはっきり歌いきってる。
でも、ポジティブシンキングってのは結局、『先が』うまく行くかどうかではなくて、『今を』楽しみながらやるかどうかなのでね。
ジョン・トラボルタのママもめっさ可愛いし、主人公の歌声は文句なく役にハマッてるし、黒人デモの歌はスローなゴスペルみたいで感動モノだし、で私徳満載なミュージカルでした。
(ただ、妊婦の喫煙&アルコール摂取は……うーん)